失敗が「自分そのもの」の問題に感じられるとき:自己肯定感
「ミスしてしまった。やっぱり私はダメなのかもしれない」
「どうして他の人はみんな、私よりうまくやれているんだろう」
「精一杯やったとわかっているのに、それでも失敗した気がしてしまう」
誰にでも、自分を疑ってしまう瞬間はあります。ミスをしたとき、批判されたとき、断られたとき、思うような結果が出なかったとき。そんな出来事は、自分をどう感じるかに影響することがあります。
ただ人によっては、たった一度のつまずきが、出来事そのものよりずっと重くのしかかってきます。「自分には能力がない」「価値がない」「ダメな人間だ」という証拠のように見えてしまうのです。
自己肯定感について知ることは、なぜこうした場面がそこまでこたえるのかを理解する助けになります。
自己肯定感とは?
自己肯定感とは、自分をどう評価し、どう感じているかということです。困難、人間関係、フィードバック、ミスにどう向き合うかに影響します。
健全な自己肯定感があるというのは、いつも自信満々でいることや、何でも得意なことではありません。自分の強みも限界も見つめながら、ひとつの経験で自分全体を決めつけない、ということです。
自己肯定感が揺らぎやすいときは、自分の価値が、成果、見た目、人からの承認、周りの意見と強く結びつきやすくなります。すると、ミスをしたときの受け止め方が「やり方を間違えた」から「私に何か問題がある」へと変わってしまいます。
研究では、自己肯定感とセルフコンパッション(自分への思いやり)の両方が、心理的なウェルビーイングの高さや、心理的な問題の少なさと関連していると報告されています(Muris & Otgaar, 2023)。これは自分をどう評価するかだけでなく、うまくいかないときに自分をどう扱うかも大切だということを示しています。
自分の価値が「成果」に左右されるとき
成功してもほっとするのは一瞬だけで、満足感が続かない人がいます。うまくできたとき、認められたとき、期待に応えられたときは自分を肯定できても、ミスをした途端に自信が一気に落ち込んでしまうのです。
こうして、ひとつの循環ができることがあります。
成果 → 一時的な自信 → 失敗への恐れ → 自己批判
続いていくうちに、ミスは学びの機会ではなく何としても避けたいものになっていきます。
このパターンは、完璧主義、考えすぎ、不安と重なることがよくあります。たとえば、人にどう思われるかが怖い人は、会話を何度も頭の中で振り返ったり、自分の判断を疑ったり、他の人と比べたりしがちです。
成功したいと思うことが問題なのではありません。つらくなるのは、成功することが「自分に価値があると感じるための条件」になってしまったときです。
このパターンは、どこから来るの?
自己肯定感は、いろいろな要素が重なり合って育ちます。これまでの経験、人間関係、生まれ持った気質、社会や文化の影響などです。
くり返し批判されること、成果を出したときだけ認められること、いじめ、拒絶される経験、高い期待に応えなければというプレッシャーなどは、自分についての否定的な思い込みにつながることがあります。他人と比べ続けることで、「自分は遅れている」「周りより劣っている」という感覚が強まることもあります。
ただ、これだと言い切れる単一の原因はありません。似た経験をしても人によって受ける影響は違いますし、自己肯定感に悩んでいるからといって、トラウマがあるとは限りません。
パーソンセンタードアプローチでは好奇心を持って、こうしたパターンに目を向けます。「どうすればもっと自信が持てる?」とだけ問うのではなく、こんなことを考えてみるのもよいかもしれません。
私にとって、失敗とはどんな意味を持っている?
誰の承認が、私にとっていちばん大きい?それはなぜ?
大切な人が同じことをしても、私は同じくらい厳しく責める?
自分のパフォーマンスにがっかりしているときでも、自分の価値を感じられる?
こうした問いは、自己評価の背後にある思い込みを見えるようにしてくれます。
自分との関係を、少しずつ変えていく
目標はいつも自信がある状態になることでも、自分への疑いをなくすことでもありません。自信は、不確かなときや変化のときには上がったり下がったりするものです。目指せるのは、自分に対してもっと柔軟で思いやりのある関係を築いていくことです。
セルフコンパッションはミスを軽く流すことでも、責任を避けることでもありません。つらかったことを認めながら、それを「自分という人間の判決」にしない、ということです。ミスをしたと認め、責任をとり、そこから学びながら、それでも「私は失敗作だ」と結論づけずにいることはできます。
自分への批判や否定的な思い込みが、強い苦しさを生んだり、日常生活の妨げになったりし続けているなら、カウンセリングが助けになるかもしれません。エビデンスに基づくアプローチは、役に立たない思い込みを見つめ直し、くり返すパターンを理解し、自分をもっとバランスよく見られるようになることを支えます。
価値を、成果で稼ぎ続ける必要はありません。
自分のしたことにがっかりしても、自分という人間にがっかりする必要はありません。
SOEL Counselling & Wellnessでのサポート
SOEL Counselling & Wellnessでは、カウンセリングを通して、自分をどう見ているのかを探り、その見方を形づくってきた経験を理解し、自分にもっとやさしい関係を築いていくための場をご用意しています。
カウンセリングが自分に合うか迷っている方は、20分の無料コンサルテーションをご利用ください。個人カウンセリングは、カナダにお住まいの方を対象に、日本語・英語で承っています。
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この記事は一般的な情報提供を目的としたもので、専門家による助言・診断・治療に代わるものではありません。緊急の場合は、お住まいの地域の緊急サービスや相談窓口にご連絡ください。
参考文献
Muris, P., & Otgaar, H. (2023). Self-esteem and self-compassion: A narrative review and meta-analysis on their links to psychological problems and well-being. Psychology Research and Behavior Management, 16, 2961–2975. https://doi.org/10.2147/PRBM.S402455

